ガンダム世界のフランス語手紙を読んでみる

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ガンダムシリーズのOVAに第08MS小隊っていうシリーズがある。

10代の頃はよく見たものだ。その頃には「ほぇ。ガンダムつおい。ガンダムがんばえ」くらいの感想しか持ってなかった。

Youtubeにビデオクリップがあったので、懐かしさと共に久しぶりに見てみる。


第6話の「熱砂戦線」を見ていると、ふと手紙のシーンが気になった。手紙のシーンは1秒近くも意味ありげに続いていたので、気になったのかもしれない。言語オタクとしては製作者からのメッセージに感じる。読んでみないわけにはいかない。

Michel Ninorichが読んでる手紙。およそ10分36秒あたりのコマ

まず、書き出しを見て驚いた。フランス語だった。"Cher Michel, En ce moment"の部分を見ればすぐにフランス語と判断できる。ちなみに、手紙の"momment"はスペルミス。mがひとつ多い。宇宙世紀のガンダム世界ではフランス語が公用語なのだろうか?そういえば、地球連邦軍の制服は近世フランス軍の制服をモチーフにしたと聞いたことがある。

手紙を書き起こししてみる。筆記体が不明瞭な部分は文脈からそれっぽい言葉を推測してみた。

Cher Michiel, En ce moment (<- *momment), chez nous, il pleut beaucoup. Comme je deteste me promener sous la pluie, j’en préfére (<- pragde??) pour travailler tranquillement chez moi. Je suis fier de pouvoir te fue (gue ??) je reussis à lire des nouvelles françaises faules (??). Il existe au Japon beaucoup de traducteurs (<- *traductous) des (<- *de) romans françaises, mais je préfére (<- *prefese) directment dans le texte. B.B.

親愛なるミシェル, この時期はたくさんの雨が降ります。私は雨の中で散歩は好きでなく、家で静かに仕事している方がいい。あなたに勇気を与えられること、誇りに思います。偽のフランス語手紙を読むことができます。日本にはたくさんのフランス語小説の翻訳者がいますが、私は原文を(読むことを)好みます。( <- 直訳: 私は直接的にテキストの中を好みます) B.B.

読んでみると、なんじゃこりゃ?っていう感想。何が言いたいんだテメー!みたいな気持ち。

文法的におかしな部分も数か所ある。でも、これはぼくが筆記体を認識間違えて正しい語を推測できんなかった可能性がある。

仮になんとなく意味が通じるように解釈したとしても、アニメ的に文脈にまったく合ってない。アニメ的には、この手紙には「あなたが戦死してしまうかもという恐怖が怖い。故郷で待っているのは辛い」という内容が書いてあるんだそうな。うん、全然ちがうね(*^^*)

ならば、この手紙はメタ的に理解するべきなんだろう。もしかすると、制作チームではこんなことがあったのかもしれない。完全に想像で、中傷するつもりはないので、ご勘弁を。


監督:「このシーンにはそれっぽい手紙を置きたいなぁ。あっ、そや、フランス語で書けば雰囲気でるやろ。フランス語で書いておいてくれない?」

制作スタッフの誰か:「は?なんでフランス語やねん。そや。どーせ、偽のテキストなんやし。バカにした内容でも書いたろ!」 <- 変な内容のフランス語

美術スタッフの誰か:「テキストがあがって来たけど。。。よくわからへんがな(たぶん、字が汚い)。ちょっとぐらい違ってもええやろ。」 <- スペルミスと文法ミスが発生


このOVAが制作されたのは1997年の頃。いまのように便利な機械翻訳は存在してなかった。古典的な統計機械翻訳もまだWebサービス提供されてなかったと思う。制作過程でチェックができなかったので、原画スタッフや美術スタッフがミスに気が付けなかったのだろう。

French

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