ドイツでの老人の生活スタイルのあり方:多世代シェアハウス

02/10/2021

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ドイツ語タンデムパートナーと「老人ホームの代替手段」の話をした。

ドイツ語ではMehrgenerationenwohnen (たくさんの世代が居住)やMehrgenerationenhaus(たくさんの世代の家)という単語がある。

タンデムパートナーと一緒に次の3つのビデオを見た。

Mehrgenerationenhausにははっきりとした定義はないらしい。しかし、3つのビデオのケースは次の点で共通している。

  • 複数の世帯が居住している。
  • 老人だけに限らず若い世代が居住している。
  • プライバシーは確保している。シェアハウスより独立性が高く、隣人度が高い、そんな位置づけと言える。
  • 専門の介護員が常駐している。

こうしたMehrgenerationenhausはドイツではさほど新しい概念ではない(と思う人もいる)。

Mehrgenerationenhausと似たコンセプトの住宅形態はすでに1960年代にはできあがっている。1960年代のドイツは戦後文化とヒッピー文化が混じったところがあって、そんな中で「みんなで共有する」という文化が形成された。

それがWG: Wohngemeinschaftのはじまりである。1960年代のドイツでは複数の家族が居住するWGも存在していたようだ(語学学校の教材で見た。出典不明)

ただ、現代ドイツでは「WGはシングルの若者が住むところ」という考えがあるようだ。

たとえばこのビデオは2019年からのGoete Instituteが作ったB2試験対策の「サンプルテスト」である。この聞き取りテストの中でラジオ番組がある。ラジオ番組の中で、司会者はこのように言っている。「複数の世代が住むWGというのは新しい考えですね」。

だから、Mehrgenerationenhausという名前をつけて、「複数の家族が居住するところ。WGとは異なる」と定義したかったのかもしれない。

日本では?

タンデムパートナーに「日本ではMehrgenerationenhausはあるの?」と質問された。調べてみると、存在しているようだ。

ただ、こうして解説ビデオを作っているところをみると、老人ホームに比べてまだ少数派なのかもしれない。

さほど、ドイツと状況は変わらないのかもしれない。

どこに未来がある?

誰だって歳をとったときのことを考えなければいけない。

お金をたくさんもっていたとしても孤独はいかんともしがたい。特に高齢者の孤独は日本では社会問題のようなイメージがある。

老人ホームは孤独を解消できるのだろうか?

ぼくは懐疑的である。老人ホームでは職員が世話をしてくれる。それは「職員と顧客」の関係と言える。もちろん、その関係が悪いとは言わない。それで満足できる人もいる。さらに、自主性を重視してる老人ホームも数おおく目にしたことがある。

「経済的やりとりが発生しない隣人」という位置づけではMehrgenerationenhausの方がもう一歩だけ頑張ったコンセプトのような気がした。