ドイツ在住者がフランスビザを申請する

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注:この記事は「あくまで私の場合」です。ビザの申請・書類手続きはケース・バイ・ケースです。盲信せずに、自分で担当機関に質問して、確認をしてください。

こんな話

  • ドイツ在住の日本国籍保持者がフランスで博士課程をすることになった。
  • 情報が右往左往して大変だった。
  • 日本国外在住者が、さらに別の国でビザを申請するときの参考ケースとして、書き残しをしておく。

どこにビザ申請にいくのか?

そもそも、ぼくは日本に住民票を持っていない。すでに「海外転出」扱いになっている。

なので、日本に現住所は存在しない(法律的な意味で)。

ビザを申請するためだけに日本に行かなければいけないのか??

フランクフルトのフランス大使館にメール問い合わせてみた。問い合わせ言語は英語でも可だった。最初はドイツ語で交信したけれども。

すると、「ドイツで有効な在住許可を持っており、3ヶ月以上の在住をしているならば、フランクフルトで申請を受け付ける」(日本語への意訳)と返事があった。

ぼくは申請時点でドイツの在住許可の残り日数が少なかった。ビザ更新がせまっていたから。

そこで「ドイツの在住許可は残り2ヶ月を切っているが問題ないか?」(意訳)と質問すると、大使館からは「問題ない。フランクフルトのフランス大使館で申請を受け付ける」とのことだった。

日本でビザ申請できるのか?

おそらく、できる。フランス大使館のページにはこう書いてある。

日本の戸籍謄本は、日本外務省によるアポスティーユを受けた原本を提出しなければなりません。

海外在住者も戸籍謄本を取得することはできる。ただし、戸籍謄本をどこで取得するのか?という問いは不明。

基本的に在住している国の日本大使館になるはず。

ビザ申請フォームを作ろう!

特に面倒なことはない。ビザ申請フォームを作るための公式Webサービスがある。

Etudes en Franceって何?

申請フォームに入力してると「EES Numberを入力してね」と求められる(オプション)

EES Numberってなんだろう?調べてみると「Etudes en France」に登録した後に、発行される番号。

。。。。Etudes en Franceってなんだろう?要するに、フランスの学校で勉強するための認定。

フランスに4か月以上の留学(長期留学)を目指している場合、キャンパスフランスへの登録が義務

http://nice-na-france.com/france-ryuugaku-02/#Campus_France

と書いてあるので、「えっ?ぼくも対象者」と疑ってしまった。Etudes en Franceの対象になると、ビザ申請とは別にわざわざ面接が発生して、非常に面倒なことになる。

Etudes en Franceのフローは次の通り。

しかし、いざEtudes en FranceのWebサービス登録をしようとすると、"Campus France Germany"というものがまず存在しない。イッタイコレナニ?

そこで、Etudes en Franceの規定を調べなおしてみることにする。2次ソースではなく、1次ソースで(これ重要)

すると、まずは"YOU RESIDE IN A COUNTRY AFFECTED BY THE “ETUDES EN FRANCE" PROCEDURE"という規定を見つけた。

Etudes en Franceの手続きは国籍でなく、居住国で決定されるらしい。もちろん、日本は対象国。

ぼくのケースのように博士課程 & 対象国以外に居住する場合は、「直接にビザ申請」となる。

If you wish to enrol in a doctorate programme, you are not affected by the “Etudes en France" procedure. Contact the Doctoral schools that offer the research subjects that interest you. Check the Campus France catalogues to find the institutes that correspond to your field. When you have obtained a positive response, file a request for a “talent passport” visa with the French Consulate or Embassy in your country of residence.

https://www.campusfrance.org/en/application-etudes-en-france-procedure

このページでも別の表現で規定している。

To enrol for a Bachelor’s, Master’s or Doctorate programme, contact the institutes of higher education that interest you. Check the Campus France catalogues to obtain their contact information. The institutes will inform you of their enrolment application procedure.

If your application is accepted, you will receive a document confirming your admission. From that point on, you will be able to undertake the procedures with the French Consulate in your country of residence to obtain a visa. Request a student visa if your admission involves a Bachelor’s or Master’s level programme; request a talent passport visa if it involves enrolment in a Doctorate programme.

https://www.campusfrance.org/en/application-non-EU-student-living-outside-EU-without-etudes-en-France-procedure

最後に、念をいれて日本語文書もチェック

残念ながら、日本語文書は表現が曖昧。「高等教育機関」の範囲に定義がない。また、博士課程で、かつ、convention d’accueil以外のケースに定義がない。

以下のいずれかに当てはまる場合、"Etudes en France" の手続きを行う必要があります。

– フランスの高等教育機関へ留学する場合

以下のいずれかに当てはまる場合、"Etudes en France" の手続きを行う必要がありません。

– 博士課程で研究する予定で、研究者向けの受入協定 convention d’accueil の枠内で受入れが決定している場合 (研究者ビザ)

https://www.japon.campusfrance.org/ja/qu-est-ce-que-la-procedure-etudes-en-france

思うに、日本語文書を読む人物は「日本に居住してる」ことを暗黙に意味してる。日本はEtudes en Franceの審査対象国なので、厳密に文書を作る必要がないのだろう。

と、いうことで「ぼくはEtudes en Franceの審査を必要としない」ということがわかった。

大使館職員が勘違いしている場合に備えて、Webページを印刷して持っていくことにする。

Talent Passportになるの?

新しい疑問が出てくる。それはTalent Passportで申請するのか?ということ。

関係者に質問してみると「Student Visaでいいはずだ。Talent Passportは研究者(特に雇用関係がちょっとむずかしいケース)や高所得者に使うVisaだから、今回は不適切だ」と言われる。

で、結局のところ、どうすればいい?

Student VisaかTalent Visaかよくわからなかったので、Visa申請フォームでStudent VisaとTalent Passportの両方を作ってみる。

申請システムは条件を打ち込むと申請PDFが出来上がる。が、必ずこのPDFを持っていいかないといけないわけではない。

とりあえず申請PDFだけを作って、大使館に持っていかない、という選択もできる。

という仕様なので、Student VisaとTalent Passportの両方の申請PDFを用意してみる。申請PDFを作ったときに、Webシステムが必要書類一覧を表示してくれる。

なので、この必要書類を確認すればいい。

Student Visaを用意したときのメッセージを確認してみる。

* Country following the EEF-Etudes en France procedure : Certificate of pre-registration generated by the EEF-Pastel application, stating the EEF ID number. Country outside of the EEF-Etudes en France procedure : Certificate of pre-registration (or registration) in an establishment of higher education or training.

と、しっかり書いてありますね(くどいようだが、今回のケースでは。各々のケースで確認を。)

Certificate of pre-registrationってなんだろう?と思う。大学オフィスに問い合わせてみると「Hiring letterがcertificationの代わりだから」とメールで返事が来た。

念の為、メールを印刷して、大使館に持っていくことにした。

予約を取る

これ、大切なことだが「ビザ申請PDFを作ること」と「予約を取ること」はまったく別のシステムである。

ぼくのケースでは、Frankfurtのフランス領事館のWebサイトに行って、そして予約をしなければいけなかった。

書類用意

書類を再確認する。

紙が複数枚にわたるものは、クリップで止めておく。

クリップで止めたあとに、付箋をはって内容が一目でわかるようにしておく(英語かフランス語かドイツ語で書く。領事館職員のための付箋。自分用ではない。)

書類の中にMotivation letterがあることをすっかり忘れていた。急遽、motivation letterを書くことにする。

とは言っても、面倒なので、このサイトからサラッとコピペ。必要箇所だけを置き換えて完成。

予約当日

フランクフルトのフランス領事館はPalmengartenのすぐ横にある。いいトコだなー。

駅ではU4のBochenheimerwarteの近く。歩いて10分ほどの距離。

予約時間までに受付で来訪を知らせておく。ドイツではロックダウン中なので、Visa申込み部屋の立ち入りは1名のみ。実際の予約時間よりも+20分ほどは待った。

ビザの申請はすべて英語で通った。ぼくがドイツ語が話すと、領事館職員が「フランス語か英語はできる?」と聞き返したからだ。ぼくが「フランス語は聞き取りがうまくできない。英語の方が正しく会話できる」と伝えると、英語になった。

まぁ、そりゃそうだ。お互い非ドイツ語母語者なのに、あえてドイツ語で話す意味がない。

ぼくはひとつミスをしてしまったことがある。パスポートとドイツ滞在許可証のコピーを取っておくのを忘れてたのだ。領事館職員から「コピー持ってきてないの?申請フォームのここにもしっかり書いてあるじゃん。」と指摘される。

うっかりミス。これは完全にぼくが悪いので、とりあえずミスを認める。そんで、近くのKiosk(当たり前だが、ドイツにコンビニはない。代わりにKioskがコピーやってくれることがある)でコピーとってくることを伝えた。

すると、領事館職員はOKといいつつも、自分でコピーを取ってた。彼はまた対応するのも面倒だと、きっと思ったのだろう。他の書類はすべて揃っているので、何も問題はないし。

ビザ申請料金が不要だった

これ、一番に謎だった。申請手続きが終わって、職員が書類を受理した後に言ったこと。

「申請料金99€。あっ、きみは奨学金つきだから、申請料金不要だ」

えっ?知らなかった。と、いうか、そんなことどこにも書いてないじゃん。得したから、いいけど。