Les fleur du mal – Au lecteur: 2

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フランス語詩の美しさ

フランス語の詩にはalexandrin (wiki)の概念がある。日本の俳句でいうところの5・7・5のようなものだ。Alexandrinの構造は1行が12 syllablesであること。1行は構文的に文になっていなくとも構わない。Alexandrinは必須ではないが、満たしていると美しい。Au lecteurの詩はAlexandrinを満たしている。

加えて、別の詩の美しさ概念にle rime {embrassé, plates, croissé}が存在する。le rimeは1行の最後のsyllableの音を揃えるテクニック。le rimeを満たすためには、1段落を4行にしなくてはいけない。syllableの音パターンによって、3種類の名前がある。

le rime embrasséはX Y Y Xの組み合わせ。

le rime platesはX X Y Yの組み合わせ。

le rime croisséはX Y X Yの組みわせ。

X, Yは特定のsyllableの音を意味する。例を挙げるのは面倒なので、読解をすすめながらle rimeを紹介する。

さらにフランス語の文学には一定の構造が存在する。ぼくはこの構造を発見しながら詩を読解していく。


C’est le Diable qui tient les fils qui nous remuent!

それは悪魔で、その悪魔は我々を動かす糸を引いている!

Aux objets répugnants nous trouvons des appas;

いかがわしい目的へ、我々は魅力を見出す。

Chaque jour vers l’Enfer nous descendons d’un pas,

日々、地獄へ、我々は歩みをもって下る、

Sans horreur, à travers des ténèbres qui puent.

恐怖もなく、悪臭はなつ暗闇を横切って。

vocabraire

le diable: 悪魔

remuer: to move obj, to move (intransitive)

répugnants: disgusting

les appas: 魅力

l’enfer: 地獄

les ténèbres: 暗闇

puer: 臭う (intransitive)

分析

le rimeの分析のために、最後の単語だけを書き出してみる。remuent, appas, pas, puent。le rimeでは「スペリングではなく、音に注目する」。なので、4単語のsyllable連続はe, a, a, eになる。Syllable patternはX Y Y Xなので、le rime embrasséである。

Alexandrinの理解のために、最初の1行だけsyllable分解してみる。

c’est/ le / di/able / qui / tient / les / fils / qui / nous / re / muent /

確かに12syllableになっている。とはいったものの、自分でもti/entって2 syllablesなのでは?と思ったりする。少しくらいはごまかしてもいいらしい。要するに、詩の読み手がAlexandrinになるようにがんばって読め!ということだと思う。

les ténèbre qui puentはl’antiphraseの可能性が有る。ふつう、「暗闇が臭う」とは言わない。暗闇を「臭う」という動詞で表現しようとしている。


  Ainsi qu’un débauché pauvre qui baise et mange

次のような様子で、(CODは次の行)をなめつくし、食べる貧者が

  Le sein martyrisé d’une antique catin,

(前の行のCOD)年老いた売春婦の虐げられた胸を、

  Nous volons au passage un plaisir clandestin

我々は道すがら許されない喜びを求めている

  Que nous pressons bien fort comme une vieille orange.

それは我々が強く押しつぶす喜びである、それはまるで古びたオレンジのように

vocabraire

ainsi que: in a way that。ainsiは単独でtherefore, thus, henceの意味を頻繁に見る。でも、ainsi自体はso, such, in a wayの訳が元々の語源のようだ。

débaucher obj: objを引き抜く、objを解雇する

martyriser obj: objを拷問する

la catin: 売春婦のこと。でも、ほとんど使わない。la prostitutionの方が一般的。

clandestin (adj): 非合法の

分析

4行の最終syllableを注目する。e, n, n, eの連続。X, Y, Y, Xなのでle rime embrasséである。

ainsi queの節はla comparaisonの可能性がある。commeやainsi queのような例示の表現はla comparaisonになりやすい。

baise et mangeはla gradationの可能性がある。baiser, mangerはどちらも口を通して行なう行為。

le sein martyriséはl’antithèseの可能性がある。「拷問された胸」というのはふつう言わない。「胸」という「おっぱい」というと、こう・・・豊かなイメージがある。拷問は対極の意味と言えるだろう。

plaisir clandestinはl’antithèseの可能性ある。「非合法の喜び」というのもおかしな表現。2つの語は対極の意味と解釈して良い。

comme une vieille orangeはla comparaisonの可能性あり。commeの例示の語はla comparaisonになりやすい。


きょうはここまで

Reference

フランス語で使われる詩テクニックをまとめた紹介