心肺停止の人を前にして思ったこと
スポーツクラブのメンバーが練習中に心臓発作を起こした。
練習中にはプロテクターをつけているので、状態が一目ではわかりづらい。
プロテクターを外してみると、酩酊したような外見だった。この時点で、ぼくの認識は甘く、一次的な熱中症のようなものだろうと認識していた。
他のクラブのメンバーが即座に本人に呼びかけをし、脈の判断をする。脈がないとわかったので、メンバーが心臓マッサージと人工呼吸をはじめた。ここまで、およそ30秒程度だったと記憶してる。
同時に指導者が他のメンバーに緊急電話を命じる。フランスでは医療救急(S.A.M.U)と救助救急(Pompier)が別の組織になっている。ぼくはそのとき気が付かなかったのだが、メンバーは両方に連絡していたようだ。
心臓マッサージと人工呼吸を初めておよそ2分程度で、本人が大きな音で呼吸をした。ぼくはこれで助かったのだ、と認識した。が、実際はそうではなく、後で調べてみると「死戦期呼吸」という「死を目前にした呼吸」だった。自分の知識のなさを恥じた。
救命措置にあたったメンバーがたまたま警察官だったこと、指導者が救命措置の知識があったので、心臓マッサージと人工呼吸が続けられた。これは不幸中の幸いだったのではないだろうか。
ふと、AEDのことを思い出し「AED!」叫んだのは、ぼくだった。幸いにして、英語の音でAED(エーイーディー)を認識してくれたメンバーが居たので、即座にAED装置を取りに行った。フランス語の発音では「アーオーデー」となる。またはDEA(デーオーアー)と呼ぶこともある。
ぼくはAEDの場所を正確に覚えてなかったので検討違いの場所に取りに行っていた。他のメンバーが正しい場所へ取りに行ったので、少ない時間ロスでAEDの準備ができた。
フランス語の聞き取りが難しいぼくが出来たことはここまで。あとは眺めているだけだった。
電話して10分ほどでPompierが到着した。S.A.M.Uは電話してから15分ほどで到着した。PompierもS.A.M.Uの隊員も"Bonsoir"と挨拶してたのは印象的だった。緊急時でも挨拶はするんだな、ってぼんやり考えてた。
PompierとS.A.M.Uは手際よく作業していく。人工呼吸機の準備、点滴の準備、薬剤の投与、ストレッチャーの用意・・・と手際が良い。
結局のところ、本人の意識は戻らないままだった。そのまま病院へ運ばれていったので、その後をぼくは知らない。少なくとも心臓は回復して、呼吸も回復していた。
今回の経験から自分の無知さを悟った。ぼくには状況判断能力が欠けていたし、心臓マッサージや人工呼吸のやり方すら思い出すことができなかった。
そんなわけで、ぼくはYoutubeで心肺停止状態の様子と心肺蘇生の様子を勉強しなおしたのだった。
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